電設資材関連
結束バンドのあれこれ
パンドウイットコーポレーション日本支社 東京第一支店 日光正宏
はじめに
験内容について知っているようで知らない事もあるかと思います。本稿では結束バンドの基本的な内容を説明させていただくことで、ご使用いただく際の最適な結束バンド選びのお役に立てれば幸いです。
結束バンドの耐候性予測寿命
結束バンドは何年もつの?というご質問をよく受けることがあります。答えは使用状況によるので一概には言えませんが、屋外で結束バンドをご使用いただいた場合の目安は下記の表のようになります。また、結束バンドの寿命を縮める原因には様々な外的要因があります。
結束バンドの材質別耐候性予測寿命
材質 | 予測寿命(年) |
ナイロン66(無印) | 1~2 |
ポリプロピレン(-109) | 1 |
耐熱性ナイロン66(-30) | 4~5 |
耐候性ナイロン66(-0及び-00) | 7~9 |
耐熱・耐候性ナイロン66(-300) | 7~9 |
耐候性ナイロン12(-120) | 12~15 |
耐候性ポリプロピレン(-100) | 7~9 |
テフゼル(-76) | 15以上 |
ステンレススチール(MLT) | 30以上 |
(注)この予測寿命は、最低荷重で化学薬品及び衝撃などがない状態の数値です。
結束バンドの寿命を縮める外的要因
要因 | 現象 |
結束の直径 | 結束径が小さいほど、結束バンドに折れ曲がりの力が加わります。 肉厚の厚い結束バンドを小さい直径の束線に巻くと、 さらに力が加わり寿命が縮まります。 |
荷重の負荷 | 結束バンドに荷重を加えると、結束バンド自身のストレスは大きくなります。 |
振動の大きさ | 振動が大きい場所で使用すると、表面のひび割れが促進されます。 |
化学薬品 | 化学薬品のある場所での使用は、寿命を縮めます。 |
日光への露出 | カバー等を掛けない状態で日光に当てたり、高所や高温下での使用は 寿命を縮めます。 |
湿度 | ナイロン66は、乾燥するほど脆くなります。 また、高温、高湿度の状態では、ナイロンの加水分解が生じ脆弱化し 寿命が縮まります。 |
耐薬品性
一般的によくご使用いただく白(ナイロン66)、黒(耐候性ナイロン66)の結束バンドは材質として多くの薬品に耐性があるとは言えません。パンドウイットでは200以上の耐化学薬品性のデータがあります。結束バンドの材質選択に際してはこれらの化学薬品への耐性を考慮する必要があります。下表は材質別耐薬品性データの一部になります。
化学薬品例 | 濃度 | ナイロン66 | ナイロン12 | ポリプロピレン | テフゼル |
塩化カルシウム | 5% | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
塩化水素 | 全濃度 | × | × | ◎ | ◎ |
塩化亜鉛 | 70% | × | ◎ | ◎ | ◎ |
塩化アンモニウム | 10~25 | × | ◎ | ◎ | ◎ |
イソプロピルアルコール | 100% | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
フェノール | 90 | × | × | ◎ | ◎ |
太陽光発電パネル設置施工での推奨結束バンド 耐候性ポリプロピレン
太陽光パネルは多くの場合、亜鉛メッキされた架台に設置されます。各モジュールから配線されるケーブルは架台に結束バンドを使用して固定されます。その際に使用される結束バンドの選択はサイズや耐候性だけでなく、塩化亜鉛に対する耐性を考慮することが重要です。塩化亜鉛は酸性雨や寒冷地で使用される融雪剤、沿岸地域での塩水等に含まれる塩基が亜鉛メッキと反応することにより発生する可能性があります、耐候性ナイロン66製結束バンドは下記写真のように塩化亜鉛の影響を受けやすいので耐候性ポリプロピレン製結束バンドのご使用をお勧めいたします
写真上 24時間後のナイロン66、写真下は3288時間後の耐候性ポリプロピレン
※試験条件 90℃塩化亜鉛飽和水溶液に浸けて
耐熱性
高温環境下での結束バンドの選定はそれぞれの状況に応じて適切な結束バンドを選択していただく必要があります。弊社ではヒートサイクル試験を実施して温度変化が結束バンドに与える影響を調べております。表1は材質別の使用温度範囲、グラフ(図1・図2)は1サイクルの温度変化と207サイクル経過後の結束バンドの材質別状況をまとめたものになります。ナイロン66は100サイクル後、ループ引張強度が大幅に低下して製品性能の劣化を示しています。それに比較してナイロン66(耐熱)、ナイロン66(耐熱耐候)、ナイロン12、ポリプロピレンはヒートサイクル試験中も安定した性能を維持しています。このことから使用される環境に最適の材質を選択していただくことが非常に重要になります。
表1
材質 | 温度範囲(℃) |
ナイロン66(ナチュラル) | -60~85 |
ナイロン66(耐熱) | -60~115 |
ポリプロピレン | -60~115 |
ナイロン12 | -60~90 |
ナイロン66(耐熱耐候) | -60~100 |
図1
図2
※各サンプルは、23℃、湿度50%に48時間コンディショニングした後に、ループ引張強度を測定しています
上記のような使用温度範囲を超える温度帯でのナイロン66結束バンドは性能が劣化してしまいますので、耐熱性ナイロン66(~115℃)、テフゼル*(~170℃)、PEEK(~260℃)の結束バンドのご使用をお勧めいたします。
*テフゼルはDuPont社の登録商標です
屋外で20年使用できる結束バンド スーパーリールバンド
屋外環境で耐候性の結束バンドを使用していても切れてしまった事はございますでしょうか? 耐候性のナイロンの想定寿命は一般的に7~8年です。屋外で20年の使用に耐える結束バンドがございます。材質はデルリン*でおもな使用アプリケーションとしては高層建築の縦幹線ラックへのほうばく、携帯電話基地局工事でのほうばく等、厳しい環境下で長期にわたる高い信頼性を求められる場所での結束に適しています。
*デルリンはDuPont社の登録商標です
スーパーリールバンド
携帯基地局での施工例
UL94V燃焼試験について
ご存知の方も多いとは思いますが、UL94V難燃性試験についてです。
パンドウイットではV-0、V-2の結束バンドをご用意しています。
この燃焼性試験は、最終製品の厚さに合わせた12.7mm×12.7mmの試験片を用います。
試験片は、成型直後のものと、70℃の恒温槽に7日間放置しコンディショニングしたものの両方を使用します。まず10秒間、既定の試験用ガス炎の上に垂直に置きます。試験用ガス炎から試験サンプルを外して、燃焼時間を測定、記録します。この時、綿ガーゼを試験サンプルの下に敷きます。
もし、試験サンプルが溶けた滴で綿ガーゼが燃えたらその状況も記録します。
判定
・試験用ガス炎から外した後、試験用サンプルが10秒以上(V-0)30秒以上(V-1、V-2)炎を出して燃焼しない。
・5個の試験用サンプルに各10回試験用ガス炎を当てて、試験用サンプルが自己消化するまでの時間が合計で50秒(V-0)、250秒(V-1,V-2)を超えない。
・どの試験用サンプルも試験用サンプルの保持器まで炎を出して燃焼したり、燃え広がらない。
・V-0,V-1条件:試験用サンプルから305mm下に置かれた綿ガーゼが試験用サンプルの溶けた滴によって燃焼しない。
・V-2条件:試験サンプルから305mm下に置かれた綿ガーゼが試験用サンプルの溶けた滴によって燃焼してもよい。
・2回目の試験用ガス炎から外した後、30秒(V-0)60秒(V-1,V-2)以上燃え方が大きくならない。
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