電設資材関連
知ってると役立つ、電線のはなし。(パート1)
スズデン株式会社
はじめに
近年、多様化し複雑化する高度情報化社会。電線もグローバル・スタンダードの波を受け、様々な分野(産業機械、半導体製造装置、工作機械、医療機器、精密機械、検査機器)より高性能化・多様化が求められています。
各分野において、機器間情報伝達・駆動・可動する装置のスピード化が進み、電線に対する要求も多様になって来ており、規格概要と性能の理解が必要となって来ております。
本稿では、電線の構造と規格の基本的な説明と、現在使用されている材質・特徴・仕様用途について紹介致します。
構造図( 一般的構造 同心よりケーブル)
同心よりとは各層が中心に対して同心円状により合わせたもの。
構造図(電磁対策構造 ツイストペアケーブル)
ツイストペア(対撚)とは2本を1組として拠りあわせた物で、主にノイズ(電磁波)の対策として使用される。
ケーブル
・絶縁電線又はそれをより合わせた物にシース(外皮)を施したもの。
1.電源電線における( )内の値は、電源電線を金属性電線管などにより保護し、かつ人が触れる恐れのない場所に取り付けられる器具に適用する。
2.機器内電線において:
(1)その1の値は、暫定登録無しで使用できる温度の上限値
(2)その2の値は、(財)電気安全環境研究所(JET)に暫定登録を行い、登録NO.を取得しなければ使用できない温度の上限値
3.同一材料でも電源電線と機器内配線用電線では、温度上限値が異なります。
電気用品の製造、輸入、販売等を規制するとともに電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止する。(平成13年4月1日より「電気用品取締法」に変わり施行されました。)
2)UL,CSA規格
Underwriters Laboratories Inc 米国火災保険協会(UL)電気製品による火災、盗難その他の事故から人命、財産を保護する目的で制定された規格。日本から米国などに電気製品を輸出する際には最も重要な規格。
Canadian Standaeds Association カナダ規格協会(CSA)電気製品の仕様上、人命の保護あるいは、安全保障を目的として制定された規格。カナダ向け電気製品の輸出にはこの規格の認定に合格する必要がある。
*UL規格とCSA規格は、対象商品によっては、同じ部分も有りますが、相違点も多くあります。CSA規格は政府機関の意見が多く反映し、UL規格は産業界の意見が多く反映されている等の違いによるところが多いと考えられます。
・レコグニッション(製品になる前の部品認定)
・リスティング(製品・完成品の認定)
3)cUL
ULはCSAより試験・認証期間として承認を得ており、cULサービスとはカナダ向けの製品に対して、ULがCSA規格に従い、認証・フォローアップサービスを行う事です。その承認を受けた製品は、cUL表示を行い、CSAより認定を受けていると、同等な扱いとなるのです。
4)NFPA70,79
<NFPA70(NEC)>
NEC(National Electrical Code)規格は、 NFPA(National Fier Protection Assocuation:米国防火委員会)と呼ばれる組織が提供した、ケーブルを布設する上での取り決めです。(NFPA70として広く利用されています。
<NFPA79>
NFPA79は、産業機械の電気規格(ElectricalStandard for Industrial Machinery)です。
欧州連合(EC)のEC理事会より人体、家畜又は、財産が危険にさられない事を目的として電気機器、機械設備、無線妨害、医用機器、玩具等の各分野別にEC指令が発行されています。電線ケーブルとしては、その中で低電圧指令(Low Voltage Directive)に該当します。対象範囲はAC50~100V,DC75~1500Vで使用するように設計された電気機器であり、EC市場で製品を流通させる為にはこの指令に従う必要があります。EN規格(欧州整合規格)、IEC規格(国際電気標準会議)、CENELEC規格(欧州電気標準委員会)、欧州各国の安全規格に適合させ安全性を証明し、製品又は、
包装にCEマーキングを表示する事を要求しています。
EC規格に適合していれば、自己責任CEマーキングを表示出来ますが、適合している事を証明する最も良い方法としては、EUが承認している第三者試験機関に試験を依頼し適合証明書を発行してもらう事です。
<認証機関の例>
・VDE(Verbad Deutscher Elektrotechniker e.V)
ドイツ電気技術者協会の略称です。この団体が制定した規格がVDE規格と呼ばれるものです。
・DEMKO(Danish Electrical Material Control Organization)
デンマーク国内であらゆる電気機器や部品の検査と認証を行っている機関です。
CCCとは、China Compulsory Certification(中国強制認証)の略で、従来のCCIB(中国輸出入商品検験検疫機関)とCCEE(中国電気機器適合性認証委員会・通称 長城マーク)の2つの製品認証を統一した制度です。
消費者保護・安全確保等を目的としています。この認証を取得していない製品は、中国国内での出荷・販売・中国国外からの輸入が禁止されています。電線についても対象商品とされており、PVC絶縁の電線・ケーブルはIEC60227をベースにしたGB5023規格に合致するもの等が規定されています。電線の場合には、安全認証を示すCCCマークが適用されます。
GOST-Rとは、GOSSTANDART of RUSSIA(ロシア連邦国家規格機関)の通称です。ロシアに製品を輸出する際にはロシアの国家規格に基づきGOST-Rの認証を取得する事が必要となります。更に、通関時には適合する旨の証明書の提示が求められます。
GOST-Rの下部には認証機関を現す記号を付した形のマークが表示されています。
8)IEC規格
International Electrotechnical Commission(国際電気標準会議)により電気に関する規格を国際的に統一及び協調を促進する目的で、制定された規格。電線では、裸線(アルミ導体)、巻線、電力ケーブル、通信ケーブル、高周波ケーブル、光ファイバ、船舶電気設備等の規格が制定されている。
注)導体サイズは、その他にも多く種類がありますが、本稿では代表的な例を載せています。
上記サイズ表からも分かる様にサイズにはズレと大きさの違いがあり、接続方法(端子・コネクター等)を選定する場合には注意が必要です。
各分野において、機器間情報伝達・駆動・可動する装置のスピード化が進み、電線に対する要求も多様になって来ており、規格概要と性能の理解が必要となって来ております。
本稿では、電線の構造と規格の基本的な説明と、現在使用されている材質・特徴・仕様用途について紹介致します。
構造図( 一般的構造 同心よりケーブル)
■例示:12x0.75mm2 | ||||
導体 | テープ | |||
絶縁体 | シース |
構造図(電磁対策構造 ツイストペアケーブル)
■例示:8(4P)x0.3mm2 | |||||
第1種線芯(L1) 第2種線芯(L2) | |||||
導体 | テープ | ||||
絶縁体 | しゃへい | シース | |||
ツイストペア(対撚)とは2本を1組として拠りあわせた物で、主にノイズ(電磁波)の対策として使用される。
電線とは
絶縁電線
・導体の上に絶縁体を被覆した物。
絶縁体: | 塩化ビニル・フッ素 架橋ポリエチレン等 | |
導 体:銅(Cu)アルミ(Al)等 |
ケーブル
・絶縁電線又はそれをより合わせた物にシース(外皮)を施したもの。
絶縁体 | |||
導体 | |||
シース(外皮) 塩化ビニル・ポリエチレン 天然ゴム・合成ゴム フッ素・ウレタン等 |
電線のシース(外皮)と絶縁体について
シース(外皮)
シース(外皮)とは、線心上又は、より合わせた物を保護を目的として被覆した部分で、特性を満足させる材料を個別の規格などで選択する必要があります。
絶縁体
電線・ケーブルの種類によって使用材料が異なります。電線・ケーブルの特性を満足する材料を個別の規格などで、選択する必要があります。
絶縁体の識別には、カラー識別、ナンバリング、スパイラル、埋め込みライン、ドットマーク、トレーサー方式などがあります。
絶縁物の使用温度の上限値
電気用品に使用される機器内配線用電線及び電源電線の絶縁物について、使用温度の上限値が規定されています。
使用温度の上限値とは、常規使用状態(1)において絶縁物に加わる最高使用温度(2)での連続使用温度(3)を許容する温度の上昇値です。
(1)常規使用状態とは、「電気用品の技術上の基準を定める省令」に定められた基準周囲温度で行う平常温度上昇試験の状態を言います。
(2)絶縁物に加わる最高温度とは、常規使用状態で機器の温度上昇が飽和したとき、絶縁物に加わる温度の最高値をいいます。
(3)連続使用温度とは40,000時間を原則としています。
電源用絶縁物の使用温度の上限値
絶縁材料 | 電源電線 | 機器内配線用電線 | |
温度上昇値 (℃) | 温度上限値 その1(℃) | 温度上限値 その2(℃) | |
塩化ビニル(PVC) | 60 | 60 | 75 |
耐熱塩化ビニル(H-PVC) | 75 | 75 | 105 |
架橋塩化ビニル(IR-PVC) | - | 75 | 105 |
ポリエチレン(PE) | 75 | 75 | - |
架橋ポリエチレン(XLPE) | 90 | 90 | 125 |
発泡ポリエチレン(PEF) | - | 60 | - |
架橋発泡ポリエチレン(IR-PEF) | - | - | 105 |
塩素系ポリエチレン | - | 90 | 110 |
ポリプロピレン(PP) | - | - | 105 |
ポリアミド(ナイロン)(NY) | - | 90 | - |
エチレン・四フッ化エチレン共重合物(ETFE) | - | 150 | - |
四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン(FEP) | - | 200 | - |
四フッ化エチレン(PTFE) | 90(200) | 250 | - |
パーフロロアルコキシ | - | 250 | - |
天然ゴム | 60 | 60 | 85 |
クロロプレンゴム | 75 | 75 | 90 |
ブチルゴム | 80 | 80 | 125 |
シリコーンゴム | 90(180) | 180 | 260 |
1.電源電線における( )内の値は、電源電線を金属性電線管などにより保護し、かつ人が触れる恐れのない場所に取り付けられる器具に適用する。
2.機器内電線において:
(1)その1の値は、暫定登録無しで使用できる温度の上限値
(2)その2の値は、(財)電気安全環境研究所(JET)に暫定登録を行い、登録NO.を取得しなければ使用できない温度の上限値
3.同一材料でも電源電線と機器内配線用電線では、温度上限値が異なります。
適用規格について
1)電気用品安全法(電安法) |
2)UL,CSA規格
Underwriters Laboratories Inc 米国火災保険協会(UL)電気製品による火災、盗難その他の事故から人命、財産を保護する目的で制定された規格。日本から米国などに電気製品を輸出する際には最も重要な規格。
Canadian Standaeds Association カナダ規格協会(CSA)電気製品の仕様上、人命の保護あるいは、安全保障を目的として制定された規格。カナダ向け電気製品の輸出にはこの規格の認定に合格する必要がある。
*UL規格とCSA規格は、対象商品によっては、同じ部分も有りますが、相違点も多くあります。CSA規格は政府機関の意見が多く反映し、UL規格は産業界の意見が多く反映されている等の違いによるところが多いと考えられます。
・レコグニッション(製品になる前の部品認定)
・リスティング(製品・完成品の認定)
ULレコグニッションマーク | ULリスティングマーク |
3)cUL
ULはCSAより試験・認証期間として承認を得ており、cULサービスとはカナダ向けの製品に対して、ULがCSA規格に従い、認証・フォローアップサービスを行う事です。その承認を受けた製品は、cUL表示を行い、CSAより認定を受けていると、同等な扱いとなるのです。
cULレコグニッションマーク | cULリスティングマーク |
4)NFPA70,79
<NFPA70(NEC)>
NEC(National Electrical Code)規格は、 NFPA(National Fier Protection Assocuation:米国防火委員会)と呼ばれる組織が提供した、ケーブルを布設する上での取り決めです。(NFPA70として広く利用されています。
<NFPA79>
NFPA79は、産業機械の電気規格(ElectricalStandard for Industrial Machinery)です。
5)CEマーキング |
包装にCEマーキングを表示する事を要求しています。
EC規格に適合していれば、自己責任CEマーキングを表示出来ますが、適合している事を証明する最も良い方法としては、EUが承認している第三者試験機関に試験を依頼し適合証明書を発行してもらう事です。
<認証機関の例>
・VDE(Verbad Deutscher Elektrotechniker e.V)
ドイツ電気技術者協会の略称です。この団体が制定した規格がVDE規格と呼ばれるものです。
・DEMKO(Danish Electrical Material Control Organization)
デンマーク国内であらゆる電気機器や部品の検査と認証を行っている機関です。
6)CCC(中国) |
CCCとは、China Compulsory Certification(中国強制認証)の略で、従来のCCIB(中国輸出入商品検験検疫機関)とCCEE(中国電気機器適合性認証委員会・通称 長城マーク)の2つの製品認証を統一した制度です。
消費者保護・安全確保等を目的としています。この認証を取得していない製品は、中国国内での出荷・販売・中国国外からの輸入が禁止されています。電線についても対象商品とされており、PVC絶縁の電線・ケーブルはIEC60227をベースにしたGB5023規格に合致するもの等が規定されています。電線の場合には、安全認証を示すCCCマークが適用されます。
6)GOST-R |
GOST-Rとは、GOSSTANDART of RUSSIA(ロシア連邦国家規格機関)の通称です。ロシアに製品を輸出する際にはロシアの国家規格に基づきGOST-Rの認証を取得する事が必要となります。更に、通関時には適合する旨の証明書の提示が求められます。
GOST-Rの下部には認証機関を現す記号を付した形のマークが表示されています。
8)IEC規格
International Electrotechnical Commission(国際電気標準会議)により電気に関する規格を国際的に統一及び協調を促進する目的で、制定された規格。電線では、裸線(アルミ導体)、巻線、電力ケーブル、通信ケーブル、高周波ケーブル、光ファイバ、船舶電気設備等の規格が制定されている。
電線のサイズ(導体寸法)について
導体
電線に電気を流す部分で、太い導体程電気を多く流す事が出来る。 一般的な材質は銅(Cu)でついでアルミ(Al)が多く、特殊導体として合金、銀、金等があり、種類は用途により様々です。
各国、各認定機関によりサイズが異なります。
導体サイズ表
日本国内 | UL | CE | ||||
公称 | 構成 | サイズ | 計算 | 構成 | 計算 | 構成 |
断面積 | (AWG) | 断面積 | 断面積 | |||
mm2) | (mm2) | (mm2) | (mm2) | (mm2) | (mm2) | |
0.08 | 7/0.12 | 28 | 0.08 | 8/0.127 | - | - |
0.1 | 10/0.12 | 27 | 0.1 | 7/0.14 | - | - |
0.15 | 30/0.08 | 26 | 0.14 | 7/0.16 | - | - |
0.2 | 7/0.18 | 24 | 0.22 | 11/0.16 | - | - |
0.3 | 12/0.18 | 22 | 0.33 | 13/0.18 | - | - |
0.5 | 20/0.18 | 20 | 0.53 | 21/0.18 | 0.5 | 22/0.18 |
0.75 | 30/0.18 | 19 | 0.75 | 30/0.18 | 0.75 | 30/0.18 |
0.75 | 30/0.18 | 18 | 0.84 | 33/0.18 | 1 | 40/0.18 |
1.25 | 50/0.18 | 16 | 1.38 | 26/0.26 | 1.5 | 60/0.18 |
2 | 37/0.26 | 14 | 2.18 | 41/0.26 | 2.5 | 50/0.25 |
3.5 | 45/0.32 | 12 | 3.46 | 65/0.26 | 4 | 75/0.26 |
5.5 | 70/0.32 | 10 | 5.23 | 104/0.26 | 6 | 112/0.26 |
8 | 50/0.45 | 8 | 8.75 | 7/24/0.26 | 10 | 7/28/0.26 |
14 | 88/0.45 | 6 | 14 | 7/38/0.26 | 16 | 7/28/0.32 |
22 | 7/20/0.45 | 4 | 22.3 | 7/60/0.26 | 25 | 7/44/0.32 |
- | - | 2 | 35.3 | 19/35/0.26 | 35 | 19/23/0.32 |
38 | 7/34/0.45 | 1 | 44.3 | 19/44/0.26 | 50 | 19/33/0.32 |
- | - | 1/0 | 55.5 | 19/55/0.26 | - | - |
60 | 19/20/0.45 | 2/0 | 70.6 | 19/70/0.26 | 70 | 19/23/0.45 |
- | - | 3/0 | 88.7 | 19/88/0.26 | 95 | 19/31/0.45 |
100 | 19/27/0.45 | 4/0 | 112 | 37/57/0.26 | 120 | 19/40/0.45 |
注)導体サイズは、その他にも多く種類がありますが、本稿では代表的な例を載せています。
上記サイズ表からも分かる様にサイズにはズレと大きさの違いがあり、接続方法(端子・コネクター等)を選定する場合には注意が必要です。
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