圧着端子は用途別に多種があります。普段なにげなく使っていますが、電力、信号をやりとりするキーパーツなのです。
圧着端子が開発される以前は屋内配線では各国とも電線同士を直接ハンダして接続する方法が一般的でしたが、1925年(大正14年)ごろヨーロッパ・アメリカで圧着による接続方法開発され、第二次世界大戦後は圧着接続が非常な勢いで普及しました。
本誌では、安全・確実な圧着接続をするために電線、圧着端子、圧着工具、加工方法の話をいたします。
1 不適正な圧着工具を使用し、焼損事故などにつながる事故が多い。
| 絶縁ひふく付端子を 裸圧着端子用工具で カシメたケース | |
明らかに圧着部の絶縁被覆が陥没し、適正な絶縁体の厚みが得られず、耐電圧を満足しない。場合によっては被覆が破れてしまいます。
2 適正な圧着工具を使用しても下記のような不良を出すことがある。
(1)圧着方向の間違い
絶縁付端子の場合、工具の2枚の歯口幅と、カシメ高さが異なるため、端子のセッティング方向が決まっています。
方向を間違えると圧着不足で焼損事故につながる可能性があります。
(2)圧着位置のズレ
(3)圧着歯口の間違い
| 電線:0.5mm2 端子:1.25mm2 歯口:0.5mm2 | 電線:0.5mm2 端子:1.25mm2 歯口:1.25mm2 |
(4)電線サイズに合わせて端子サイズを選びます。
端子の「電線縫合範囲」 | 一般の圧着端子には使用できる 電線サイズの範囲があります。 |
3 端子サイズごとに圧着する歯口がきめられてます。
| | 裸端子用圧着工具(NH 1) | 1.25mm2の圧着歯口に 端子をセットします。 | 0.75mm2 | 1.25mm2端子に 適合する電線(0.25mm2~1.65mm2) |
| 8mm2端子 | 2mm2端子 | 1.25mm2端子 | 5.5mm2端子 |
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(1)圧着方法●裸圧着端子 |
| 銀ロー付部を上にし オスダイスでカシメます。 | 端子を歯口に仮押さえしてから 電線を挿入し、ハンドルを握ります。 |
●絶縁付圧着端子 |
圧着歯口は「心線部」と「ひふく部」を同時にカシメるため、2枚歯になっています。 方向を間違えないよう注意してください。 |
ロケータ:端子位置決め板 |
絶縁付スリーブなど、丸型・先開型以外の端子を圧着する場合は、 このロケーターを取り外してご使用下さい。 |
4 端子の種類によって圧着工具も異なります。
適正工具を使ってください。
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| 歯口は 1枚歯 | | | | 裸圧着端子の場合は 凹凸歯口で一箇所をカシメます。 | | |
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| 歯口は 2枚歯 | | | | 電線の「心線部」と「被覆部」の 2箇所を同時にをカシメます。 | | |
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| 歯口は 1枚歯 | | | | 合わせた複数電線の「心線部」 だけをカシメます。 | | |
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圧着後の目視検査
裸圧着端子 | 絶縁ひふく付圧着端子 | |
| | | 正しい圧着 |
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| | | 後端圧着 |
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| | | 前端圧着 |
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| | | ひふくムキ寸法不良 |
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| | | 電線挿入不良 |
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5 被覆ムキ寸法の目安
各種端子の取り扱い説明書に合わせ、電線端末のひふくをムキます。
| | | | | | | 端子の種類や形によってひふくムキの寸法はちがいます。 | | | | | | |
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| 圧着後に電線の切り口の 突起を無くすため、 ペンチで先をたたくか、 先端をペンチで はさんで2~3回 まわしてください。 |
(a)+(1.5~3.5mm) | スリーブ長より 1.5~3.5mm 長く ニチフ製リングスリーブの場合:12~14mm | a |
絶縁キャップや絶縁テープで 圧着箇所を絶縁処理して 接続完了です。 | VAキャップ | リングスリーブ用 絶縁キャップ |
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| 閉端接続子の種類によって先端の絶縁部の長さが異なるため、端子に合わせて、奥まで挿入できる長さにむいてください。 |
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