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技術情報

Ubon PARTS DIGEST 技術資料

材質損壊(結束バンド)の判定 技術情報

Ubon PARTS DIGEST Vol.8



材質特性の損壊は、強度の減衰、粘り強さの衰退そして外観の変化の三つの形態に分類できます。与えられた条件で何を重要視するかは、材料自身が置かれる環境の要求と使用条件により異なります。
強度の減衰は、耐候性試験を行う前と後に引張強度を測定し比較することで確認ができます。この試験で、耐候性試験期間の長さに伴って、強度が減衰して行くことが明らかになります。
粘り強さの衰退は、伸長度と耐衝撃強度の変化を測定することで観察ができます。紫外線の照射時間が長くなることによって材料が脆くなり、伸長度と耐衝撃強度は大幅に衰退します。
引張強度に変化がなくても、材質自身が脆くなることによって不良が発生する可能性があることは理解しておく必要があります。
一般的に外観の変化は、結束バンド自身の不良とは見なされませんが、プラスティックは暴露時間が長くなることによって、色があせて、表面の艶も失われる傾向があります。
これらの変化は、米国連邦標準局の基準と同様のアダムス基準で測定することができます。

パンドウイットでは、結束バンドの各材質に対して独自の耐候性試験を実施し、おおよその寿命を予測しています。この試験には、製造後時間が経ったサンプルを世界中から集めて行う試験も含まれています。
全ての試験において、紫外線への露出時間に比例して、材質の損壊の程度が高くなることが確認されました。さらに、材質の劣化の徴候は、もろさ、ひび割れ及び材質表面のつやの喪失に表れることも判明しました。また、不良の発生までの時間は、いずれも材質の工業試験で示された時間よりも短いと測定されました。この違いは、プラスチックのメーカーが、材質の耐候性試験の際に試験サンプルにテンションを加えていないのに対して、結束バンドはその使用段階で何らかのテンションが加えられることが原因の一つと思われます。
テフゼル、ヘーラー及びステンレスの三種類の材質は、紫外線に対して極めて優れており、現在までの試験結果では目立った劣化の兆候は見られていません。
紫外線の他にも、材料に対して影響を及ぼす様々な要因が考えられます。そのため、それぞれの材質の屋外での寿命を正確に予測することは、極めて困難となっています。
以下に結束バンドの寿命を縮める要因を記しましたので、結束バンドの材質を選定する前に必ず考慮してください。


表A 結束バンドの寿命を縮める外的要因

要 因現  象
結束の直径結束の直径が小さいほど、結束バンドに折れ曲がりの
力が加わります。肉厚の厚い結束バンドを小さい直径
の束線に巻くと、さらに力が加わり寿命が縮まります。
荷重の負荷結束バンドに荷重を加えると、結束バンド自身のストレ
スは大きくなります。
肉厚肉厚が薄い結束バンドほど表面にできたひび割れが
より遠く内部に浸透し、寿命が縮まります。
振動の大きさ振動が大きい場所で使用すると、表面のひび割れが
促進されます。
化学薬品化学薬品のある場所での使用は、寿命を縮めます。
日光への露出カバー等を掛けない状態で日光に当てたり、高所や高
温下での使用は寿命を縮めます。
湿度ナイロン66は、乾燥するほどもろくなります。
また、高温、高湿度の状態では、ナイロンの加水分解
が生じ脆化し、寿命が縮まります。



■結束バンドの材質別耐候性予測寿命

要   因予測寿命
(年)
※1 標準ナイロン66(無印)1〜 2
  標準ポリプロピレン(−109)1
  耐熱性ナイロン66(−30)4〜 5
※2 耐候性ナイロン66(−0及び−00)7〜 9
  耐熱・耐候性ナイロン66(−300)7〜 9
  耐候性ナイロン12(−120)12〜15
  耐候性ポリプロピレン(−100)7〜 9
  テフゼル(−76)15以上
  ヘーラー(−702)15以上
  ステンレススチール(MLT)30以上

(注) この予測寿命は、
最低荷重で化学薬品及び衝撃などがない状態での数値です。

※1 本文中 ナチュラル66ナイロン
※2 本文中 黒:耐候性66ナイロン

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