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知ってると役に立つ トランス(変圧器)のはなし
豊澄電源機器株式会社 営業部 熊本 雅之
はじめに
わたしたちの生活に欠かす事の出来ないライフライン、ガス・水道・電気。その中でも電気は蓄えることが難しい貴重なエネルギーです。
戦後、家電三種の神器(テレビ・冷蔵庫・洗濯機)の登場により非常に便利で快適な生活が可能となり、高度経済成長と共にエレクトロニクス技術は目覚しい発展を続け、今では電気無くして生活が出来ないほど身近で便利なものとなっています。 普段わたしたちは、その電気を手軽にコンセントから使用していますが、どうやってわたしたちの家まで来るのでしょうか?
電気の旅が始まります。みなさんもご存知の通り電気は発電所(水力・火力・原子力など)で作られます。最近では太陽光、風力などの自然エネルギーが注目されていますね。
この電気は遠くまで送るために、効率のよい超高電圧の27万5千V~50万V(発熱による送電ロスが少ない)に隣接する変電所にて変電し送電線に送り出します。
それから、山を越え谷を越え各地に設けられた変電所を経由し、6600Vまで下げられた電気は最後に、電柱にあるトランスで100Vまたは200Vに変圧され、各家庭へと配電されます。
このように電気は24時間365日、休むことなく送り続けられています。そして、発電所で生まれた電気は光の速さと同等の速さで一瞬にして皆さんのご家庭へと届けられます。
でも、どうして電気は50万Vから100Vまで自由自在に変えられるのでしょうか?
その主役がトランスなのです
発電所から家庭まで、いろいろな所で使われている電気は直流より交流の方がずっと多いのですが、交流が使用される一番の理由はこのトランスによって電圧を自由に上げたり下げたり出来るからです。
電圧を自由自在に変えられる便利な装置、トランスとはいったいどんなものなのでしょうか?
実は普段コンセントにつないで使用している電気製品の中にも内部で100V以外の電圧で動作する機器がたくさんあります。その機器の入り口にはトランスが入っていて機器の内部で必要な電圧に変換をしているのです。
それではその仕組みを見てみましょう。
トランスの基本的構造は非常にシンプルで、図1のように鉄芯に1次コイルと2次コイルを巻きつけた構造になっています。
(図1)※いろいろな呼び名があります。
(図2)
では交流はどうでしょう? 交流は常に極性が変化し、1サイクルを東日本では50回/秒(Hz)、西日本では60回/秒(Hz)を繰り返します。
鉄芯内の磁束の向きも図3のように切り替わります。
(図3)
次に中学生のときに習った?レンツの法則でコイルの中に棒磁石を抜き差しすると電圧がおきました。(図4)
そうです。もうお解かりですよね。変化する磁束の中にあるコイルには電圧が発生します。(メーターは磁石を抜き差しすると左右に動く)
(図4)
1次コイルに交流電圧をかけると鉄芯に磁界が発生し、二次コイルには電圧が発生します。
ちなみに、この現象のことを電磁誘導作用といいます。
電磁誘導作用は1831年にイギリスのファラデーが発見しました。(図5)
(図5)
この発見で電気を力に変えることや力を電気に変えることが可能となり、トランス以外にも発電機や自転車のライト用発電機(ダイナモ)や原子力発電所なども原理は同じ電磁誘導作用の応用なのです。そうですトランスは電気エネルギーを磁気エネルギーに変換し、さらに電気エネルギーに変換する機器なのです。
● 巻き方は通常複巻ですが他に単巻があります。
● トランスの容量計算について。
トランスの選定は一般的に、 入力電圧・出力電圧・出力電流 それぞれの値から選定します。
そして上の値から簡単にトランス容量が解ります。
単相の場合 容量 = 出力電圧×出力電流
では入力側の電流はどうでしょう?
まず、理想的なトランス(損失0)とすると
入力側の容量(入力電圧×入力電流) = 出力側の容量(出力電圧×出力電流)
となりますので、入力電流 = 容量÷入力電圧 となります。
これである程度の大きさは解りますが、実際のトランスには損失があるので、この入力電流より一般的に5%~10%程度大きくなります。この値は入力側に使用するケーブルの太さなどの目安になりますね
容量計算
単相 出力電圧(V)×出力電流(A)=容量(VA)
三相 出力電圧(V)×出力電流(A)×√3=容量(VA)
トランスにも損失があり、ほとんどが熱として発散されます。
トランスを構成する材料の内一番デリケートなものは絶縁材料です。汎用トランスのほとんどが周囲温度40℃で設定し、構成する絶縁材料を選定しています。
※周囲温度が異なる場合は特注にて取扱っております。
突入電流は鉄芯を励磁する際、鉄芯が一瞬飽和状態になり発生します。負荷に関係なく、設置環境や入電のタイミングで大きく異なりますが入力側にブレーカーなどの保護回路をつけ安全構築する場合、注意が必要です。
電圧を変えても、ほぼ波形は変わりません。
すごく素直なんです。入力側にサイリスタなどで電圧をコントロールする場合注意が必要です。サイリスタなどの出力波形は図6のようにきれいな正弦波ではなく、矩形波などの歪波形です。
この波形はトランスに対し負担を掛けてしまいます。そのようなご使用の場合はまず、ご相談下さい。
波形イメージ
見た目は鉄と銅の塊で頑丈に思いますが、自重が重い分、落下した場合の衝撃はかなりのものです。
発送する場合はしっかり梱包しないといけません。
出力電圧の表示は100%無誘導負荷をかけた時の数値です。(±5%以内)これはトランスに電気を流すと内部抵抗によって電圧が降下してしまう為その降下分を高めに設定しているのです。
トランスはさまざまな場所で使用され、自由に交流電圧を変換できるので、その種類も豊富です。
弊社では「お客様のニーズに合ったトランス」をモットーに約400機種のトランスを常時在庫しご対応申し上げております。
戦後、家電三種の神器(テレビ・冷蔵庫・洗濯機)の登場により非常に便利で快適な生活が可能となり、高度経済成長と共にエレクトロニクス技術は目覚しい発展を続け、今では電気無くして生活が出来ないほど身近で便利なものとなっています。 普段わたしたちは、その電気を手軽にコンセントから使用していますが、どうやってわたしたちの家まで来るのでしょうか?
電気の旅が始まります。みなさんもご存知の通り電気は発電所(水力・火力・原子力など)で作られます。最近では太陽光、風力などの自然エネルギーが注目されていますね。
この電気は遠くまで送るために、効率のよい超高電圧の27万5千V~50万V(発熱による送電ロスが少ない)に隣接する変電所にて変電し送電線に送り出します。
それから、山を越え谷を越え各地に設けられた変電所を経由し、6600Vまで下げられた電気は最後に、電柱にあるトランスで100Vまたは200Vに変圧され、各家庭へと配電されます。
このように電気は24時間365日、休むことなく送り続けられています。そして、発電所で生まれた電気は光の速さと同等の速さで一瞬にして皆さんのご家庭へと届けられます。
でも、どうして電気は50万Vから100Vまで自由自在に変えられるのでしょうか?
その主役がトランスなのです
発電所から家庭まで、いろいろな所で使われている電気は直流より交流の方がずっと多いのですが、交流が使用される一番の理由はこのトランスによって電圧を自由に上げたり下げたり出来るからです。
電圧を自由自在に変えられる便利な装置、トランスとはいったいどんなものなのでしょうか?
実は普段コンセントにつないで使用している電気製品の中にも内部で100V以外の電圧で動作する機器がたくさんあります。その機器の入り口にはトランスが入っていて機器の内部で必要な電圧に変換をしているのです。
それではその仕組みを見てみましょう。
トランスの基本的構造は非常にシンプルで、図1のように鉄芯に1次コイルと2次コイルを巻きつけた構造になっています。
1次コイル 入力 1次側 プライマリー P | 鉄心(コア) | 2次コイル 出力 2次側 セカンダリー S |
1次コイルに電圧をかけると2次コイルに電圧が発生する? 線はつながっていないのに・・・・どうして??
電気の種類は直流(DC)と交流(AC)があります。
トランスに直流を印加するとどうなるでしょう?
ご存知の通り、釘にエナメル線をまきつけて小学校の理科で習った電磁石になってしまいます。(図2)
| 電池 |
では交流はどうでしょう? 交流は常に極性が変化し、1サイクルを東日本では50回/秒(Hz)、西日本では60回/秒(Hz)を繰り返します。
鉄芯内の磁束の向きも図3のように切り替わります。
1サイクル 360° |
交流 |
次に中学生のときに習った?レンツの法則でコイルの中に棒磁石を抜き差しすると電圧がおきました。(図4)
そうです。もうお解かりですよね。変化する磁束の中にあるコイルには電圧が発生します。(メーターは磁石を抜き差しすると左右に動く)
(図4)
1次コイルに交流電圧をかけると鉄芯に磁界が発生し、二次コイルには電圧が発生します。
ちなみに、この現象のことを電磁誘導作用といいます。
電磁誘導作用は1831年にイギリスのファラデーが発見しました。(図5)
一次側 コイル | 二次側 コイル |
この発見で電気を力に変えることや力を電気に変えることが可能となり、トランス以外にも発電機や自転車のライト用発電機(ダイナモ)や原子力発電所なども原理は同じ電磁誘導作用の応用なのです。そうですトランスは電気エネルギーを磁気エネルギーに変換し、さらに電気エネルギーに変換する機器なのです。
トランス豆知識
● トランスの種類
相数 | 波形 |
単相 AC(交流) | 1サイクル 360° |
三相 AC(交流) | 120°120° 120° |
● 巻き方は通常複巻ですが他に単巻があります。
巻き方 | 長所 | 短所 |
複巻 | 1次側と2次側が 絶縁出来る | 単巻に比べ大きい |
単巻 | 複巻に比べ小型、安価 | 1次、2次の 絶縁が出来ない |
● トランスの容量計算について。
トランスの選定は一般的に、 入力電圧・出力電圧・出力電流 それぞれの値から選定します。
そして上の値から簡単にトランス容量が解ります。
単相の場合 容量 = 出力電圧×出力電流
では入力側の電流はどうでしょう?
まず、理想的なトランス(損失0)とすると
入力側の容量(入力電圧×入力電流) = 出力側の容量(出力電圧×出力電流)
となりますので、入力電流 = 容量÷入力電圧 となります。
これである程度の大きさは解りますが、実際のトランスには損失があるので、この入力電流より一般的に5%~10%程度大きくなります。この値は入力側に使用するケーブルの太さなどの目安になりますね
容量計算
単相 出力電圧(V)×出力電流(A)=容量(VA)
三相 出力電圧(V)×出力電流(A)×√3=容量(VA)
意外と知らないトランスのこと
1.温度と深い関係があります。 |
トランスを構成する材料の内一番デリケートなものは絶縁材料です。汎用トランスのほとんどが周囲温度40℃で設定し、構成する絶縁材料を選定しています。
絶縁種別 | A種 | E種 | B種 | F種 | H種 |
トランスの許容最高温度(℃) | 100 | 115 | 120 | 140 | 160 |
トランスの温度上昇限度(℃) | 60 | 75 | 80 | 100 | 120 |
周囲上限温度 | 40℃ |
2.無負荷時でも突入電流はあります。 |
3.入力された波形はそのまま出力されます。 |
すごく素直なんです。入力側にサイリスタなどで電圧をコントロールする場合注意が必要です。サイリスタなどの出力波形は図6のようにきれいな正弦波ではなく、矩形波などの歪波形です。
この波形はトランスに対し負担を掛けてしまいます。そのようなご使用の場合はまず、ご相談下さい。
波形イメージ
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(図6) |
4.頑丈に見えてもすごくデリケート。 |
発送する場合はしっかり梱包しないといけません。
5.無負荷の時は表示電圧より電圧が高めに出ます。 |
おわりに
いかがでしたか?少しでも親しみをもっていただけましたか?
弊社では汎用トランス以外にもUL/CEなどの海外規格対応トランスやノイズ防止トランス耐雷トランス、そして医療器用トランスなど、いろいろな種類のトランスをご用意しています。
トランスはさまざまな場所で使用され、自由に交流電圧を変換できるので、その種類も豊富です。
弊社では「お客様のニーズに合ったトランス」をモットーに約400機種のトランスを常時在庫しご対応申し上げております。
是非、トヨズミのトランスをご用命下さい
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