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電源障害対策による生産システムの安定稼動
「常時インバータ給電方式UPS」で電源障害を解消 技術情報

オムロン株式会社  周辺機器事業部

TECHNICALREPORT

(1) はじめに

 近年、生産現場ではきめ細かい顧客ニーズに対応するために高度生産システムの導入が余儀なくされており、サーバ、パソコンなどのOA機器、さらにはPOS、無線LAN、精密加工機、高精度検査機に至るまでさまざまな機器が導入されつつある。
 しかし一般のオフィス環境に比べ、生産現場では常にさまざまな電源障害が発生している。(図1)半導体製造プロセス装置など大電流を要する機器、耐圧試験機など高電圧を発生する機器は代表的な電源ノイズ発生源であるが、基本的には電気を要する機器は全て電源ノイズ発生源となりうる。システムが安定稼動するためには、各機器の動力源である「電源」の安定供
給がポイントとなるが、この電源ノイズは時にシステムに悪影響を及ぼすことがある。
 やっかいなことにこれら電源ノイズが原因で機器トラブルが発生した時、再現性のない機器の誤動作、加工精度の低下、測定データのバラツキなどによる歩留まり低下など不可解な現象として現われる。それらの原因を突き止めて対策を講じるのは熟練しているエンジニアでも多大な労力と時間が必要であり、事態の慢性化を招く。
 ここでは、生産現場における無停電電源装置(UPS)を用いた電源障害への対処方法をいくつかご紹介したい。



図1 さまざまな電源障害

(2)生産現場で発生する電源障害の代表例

 生産現場での代表的な電源障害の例を紹介する。
(a) 大電流を要する機器が引き起こす電源障害
 大電流(例:30A以上)が必要な機器を起動させた時、一時的に電圧低下(電圧が定格電圧の90%以下にドロップすること)を引き起こすことがある。これは水道に例えると、家庭の風呂場でシャワーを浴びている時に台所で水道を使用されると、シャワーの水圧が一時的に弱くなる現象に似ている。
 一般的な機器の入力電圧範囲は「定格電圧±10%」程度に規定されているものが多い。もし入力電圧が規定範囲外になると、その機器の安定稼動は保証されない。このことから電圧低下は予期せぬトラブルを引き起こす原因となるであろう。具体例として、パソコンのシャットダウン、ハングアップや、センサの誤検知、機器の誤動作、モータの動作不安定による位置決め不良などがあげられる。

(b) 高電圧を発生する機器が引き起こす電源障害
 耐圧試験機などの高電圧(例:1KV以上)を発生する機器からは、ACラインに電源ノイズが放出される。これらの影響により、周囲のセンサの誤検知、コントローラの誤動作、リセット、計測装置のアナログデータが変動するなど、原因不明のチョコ停や計測バラツキによる歩留りの低下などを引き起こす原因となる。

(c) 落雷が引き起こす電源障害
 落雷により瞬時電圧低下や雷サージが発生すると、生産ラインに使用しているパソコン、精密機器、通信機器などが故障してしまう恐れがある。これにより生産設備の故障から生産が完全にストップしてしまうという最悪の事態を招く。

(d) 停電が引き起こす不具合
 工場のブレーカが作動するなどしていきなり停電が発生すると、生産中の設備が突然停止することによる設備の故障や、生産仕掛り品の中断など影響が予想される。さらに生産仕掛パーツの廃棄を余儀なくされ、製品廃棄コストが増大する。

(e) 突入電流が引き起こす不具合
 生産設備使用開始時にシステムを起動させた時、突入電流と呼ばれる一時的(10msec程度)に大電流が流れる現象が発生することがある。ファンやモータなどの誘導性負荷、DC電源やパソコン用の電源ユニットなどのスイッチング電源機器は代表的な突入電流発生機器といえる。この突入電流は、工場のブレーカ作動による停電や、電圧低下などの電源障害を招くことがある。突入電流は時間差をつけて機器を起動させるなどすると発生を抑制できる。もしくは突入電流に十分耐えるだけの配電設備を準備する手もあるが、設備
投資額は相当なものになるであろう。

 このように、電源の安定供給は生産システムの安定稼動のため重要な要素であり、電源障害は生産ラインの稼働率、歩留りに大きな影響を及ぼすことがわかる。

(3)無停電電源装置(UPS)の種類

 無停電電源装置(UPS)を給電方式で分類すると、大きく常時商用給電方式、ラインインタラクティブ方式、常時インバータ給電方式の3種類に分けられる。

●常時商用給電方式のUPSとは
 通常時は入力した商用電源をダイレクトに負荷に給電しており、停電時のみバッテリからインバータを介して給電する方式である。構成部品が少なく、低価格で小型軽量という特徴がある。しかしながら、商用電源をダイレクトに給電しているという性質上、出力電圧値の安定化や電源ノイズの除去効果は期待できない。また商用電源からバッテリ電源に切替る時に、10msec程度の電源が全く供給されない時間(切替時間)が発生する。(図2)



図2 常時商用給電方式 回路ブロック図


●ラインインタラクティブ方式のUPSとは
 常時商用給電方式に出力電圧安定化機能をもたせたものである。内部に商用トランスを持ち、入力電圧値に応じて昇圧/降圧を行い出力電圧を調整する。これにより入力電圧範囲が広がりバッテリの放電回数が少なくなるため、バッテリの劣化を抑えることができる。特徴は低価格で広い入力電圧範囲を有することにある。しかし常時商用給電方式と同様、出力電圧値の
安定化や電源ノイズの除去効果は期待できず切替時間も発生する。(図3)



図3 ラインインタラクティブ方式 回路ブロック図


●常時インバータ給電方式のUPSとは
 常に電圧安定化機能をもつインバータ回路を介して出力されているため、出力は入力の電圧変動やノイズの影響をほとんど受けずに、常に一定電圧、一定周波数を確保できる。また停電時も無瞬断で給電を継続できる。価格的には前述の2方式と比べると競争力は低い。(図4)



図4 常時インバータ給電方式

(4)生産現場での電源障害に最も効果的な「常時インバータ給電方式UPS」

●電源障害への「常時インバータ給電方式UPS」の有効性
 (1)項でも述べたが、一般のオフィス環境に比べて生産現場ではさまざまな電源障害が発生する。これらの問題をオールマイティーに解決できるのは「常時インバータ給電方式UPS」である。他の「常時商用給電方式UPS」や「ラインインタラクティブ方式UPS」は、通常時は商用電源がダイレクトに負荷に供給されるという性格上すべての電源障害を解決することはできない。 そのため電源環境の悪い生産現場においては「常時インバータ給電方式UPS」が最も適しているといえる。(図5)


給電方法常時商用
給電方式
ラインインタラクティブ方式常時インバータ給電方式
オムロン
シリーズ名
BZ
BX
BY
BNBU
BH
停電
電圧変動

入力がスルーでそのまま出力される

トランスにより電圧調整して出力

電圧は常に一定値で出力
周波数変動
瞬時電圧低下

10ms以上の瞬低は抑制される

10ms以上の瞬低は抑制される

瞬低は発生しない(無瞬断)
雷サージ

バリスタによる保護

バリスタによる保護

バリスタによる保護
電源ノイズ

ノイズを除去して出力

図5 UPS給電方式と電源障害への効果


●「常時インバータ給電方式UPS」の効果の実例
 「常時インバータ給電方式UPS」の電源障害の改善例を示す。入力側で「停電」、「ノイズ」、「瞬停」が発生しているが、出力側は常時インバータで精製されたきれいな正弦波が出力されているのがわかる。(図6、図7、図8)





入力




出力

図6 常時インバータ給電方式UPSの効果(停電)






入力




出力

図7 常時インバータ給電方式UPSの効果(電源ノイズ)






入力




出力

図8 常時インバータ給電方式UPSの効果(瞬停)

(5) UPSを用いた電源障害の対策事例

 ここではUPSを用いた電源障害の対策事例を紹介する。
●液晶検査装置への電源障害対策例
[導入目的]
 ●瞬時電圧低下、電圧変動などの電源障害により、システムが誤動作するのを防止する。
 ●停電が発生しても、仕掛り中の製品、メカ搬送部を安全な位置に退避させてから装置を停止する。
[UPSの概要]
 ●型式:BU100SW(UPS)、BUM100S(増設バッテリユニット)
 ●給電方式:常時インバータ給電方式
 ●入出力電圧:100V
 ●接続容量:1kVA/700W
 ●バックアップ時間:30分(700Wの負荷接続時)
[ポイント]
 ●常時インバータ給電方式のため、瞬時電圧低下、電圧変動などの電源障害を解消。
 ●停電発生情報をUPSから制御用FAパソコンに接点信号にて伝達可能。
 ●リモートON/OFF機能によりPLCなどのコントローラからUPSを制御可能。
 ●UPSに増設用バッテリユニットを接続することにより、長時間のバックアップが可能。



図9 液晶検査装置へのUPS導入事例


●社内基幹システム用PCサーバへの電源障害・突入電流対策例
[導入目的]
 ●瞬時電圧低下、電圧変動などの電源障害により、社内基幹システムが誤動作するのを防止する。
 ●複数台のPCサーバに対し、時間差をつけて起動させることにより、突入電流による起動時のシステムダウンを防止する。
[UPSの概要]
 ●型式:BU3002SW(UPS)
 ●給電方式:常時インバータ給電方式
 ●入出力電圧:200V
 ●接続容量:3kVA/2100W
 ●バックアップ時間:5分(2100Wの負荷接続時)



図10 PCサーバへのUPS導入事例


[ポイント]
 ●常時インバータ給電方式のため、瞬時電圧低下、電圧変動などの電源障害を解消。
 ●UPSの出力コンセント制御機能により、PCサーバーを順番に起動させることができ、起動時に発生する突入電流を抑制することが可能。(図11)
 ●UPS付属の自動シャットダウンソフトにより、停電発生時も複数台のPCサーバを自動シャットダウン処理可能、またシステムの電源状態もネットワーク経由で遠隔監視できる。




図11 出力コンセント制御機能の解説図

(6)幅広い入力電圧範囲と安定出力の常時インバータ給電方式「BUシリーズ」

 生産現場で発生するさまざまな電源トラブル(瞬時電圧低下、電圧変動、ノイズ)からシステムを守りたいという用途に最適なのが「BUシリーズ」だ。特徴は、幅広い入力電圧範囲を有しているため工場などの電源環境が悪いとされる場所でも使用できる点、さらにインバータによる安定した電源出力のため生産現場で発生するさまざまな電源障害を一挙に解消できる点にある。これらの使用によりシステムの安定稼動が期待できる。また産業機器業界で必須とされるUL/CEマーキングにも適合している。


[主な特徴]
●幅広い入力電圧範囲
●インバータによる安定した電圧出力(±3%)
●UL1778取得/CEマーキング適合
●長寿命バッテリ搭載(期待寿命5年)
[製品ラインナップ]
●100/110/115/120V出力タイプ
BU50SW(500VA/350W) 84,000(税抜)
BU75SW(750VA/500W) 98,000(税抜)
BU100SW(1kVA/700W) 118,000(税抜)
BU150SW(1.5kVA/1050W) 158,000(税抜)
●200/220/230/240V出力タイプ
BU1002SW(1kVA/700W) 200,000(税抜)
BU3002SW(3kVA/1050W) 420,000(税抜)

[BU100SW]

[BU3002SW]

最後に

 生産現場においては電源障害による不意のトラブルを防ぐためにも、常時インバータ給電方式のUPSを採用されることを強くお勧めしたい。今後は常時インバータ給電方式UPSの低価格化により、ますます市場ニーズは高まっていくものと筆者は予測する。

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