電子デバイス関連
端子台の変遷
東洋技研株式会社
はじめに
端子台とは電線の接続、中継、分岐に使われるものであるが1925年頃に圧着端子が開発されるまでは電線どうしを半田付けしていたようである。第二次世界大戦後に欧米を中心に急速に普及したようだ(FA Ubon技術情報より引用)端子台の始まりについては調査不足で情報を持ち合わせないが、1957年に日本圧着端子製造㈱殿が日本で初めて圧着端子を開発した、(因みに現在一般的に使われている圧着端子と言う呼称は創業者が命名したらしい)
国内の各端子台メーカーの創業が1950年代に集中していることから、この頃圧着端子と共に普及したと推察される。その後欧州を中心とした圧着端子を用いないクランプ式(ネジ仕様)と、日本で主流の端子ネジを使用するタイプに2極化。今日までこれらをベースに派生した商品で各メーカー工夫を凝らしPRに力を入れてきたところである。
当社は創業が1971年と後発であり先達の各メーカー様には及ばないところではありますが当社の端子台を例に変遷を辿ってみたいと思います。
バネアップ端子台の開発
端子台は中継用で圧着端子を止めるだけの単機能で良かったので導電板とネジ、それを保持する絶縁材でよく構造はシンプルだった。
後発で創業した当社は先行メーカーさんと同じ物を作っても競争力が無いので創業者 花岡 孝は元々機械いじりや物づくりが好きだった事もあり、工夫の末既存の端子台に無かった機能、ネジを緩めてもバネの力で保持し脱落しない端子台ATシリーズを世界で初めて開発し実用新案をとることができた。
作業性の良さから各ユーザー様の支持を得て「バネアップの東技」と市場に認知され中継部品メーカーとしての東洋技研の礎となった。
その後各社独自の形状と寸法で展開していたレールの統一を求める声が多くなりDINレール対応のPTU、PTシリーズが追加された。
コネクタ端子台
自動化、省力化の需要が増え、設備の制御が高度化複雑化し、機械制御も従来のリレー盤からPLCへと進化していく事となるが、小型化高機能化の為にI/Oの取り出し部も端子台からコネクタへと移行してきたことでPLCから盤内の中継端子台への配線の煩わしさが有った。1988年からPLC搭載コネクタに対応した、コネクタと端子台を基板上で結んだ変換ユニットPCFシリーズを世に出しました、これにより丸ケーブル1本で作業が終了するので省配線化ができた。
当時は現在のPCシリーズと比べ基板が剥き出しでサイズも大きく、広く浸透と言うには遠かった。1992年DINレールの35mmに対し、縦寸法40mmと言う当時日本最小を謳い文句に開発したPCNシリーズはユーザー様の評判も良く、利便性が認知されコネクタ端子台というカテゴリーの確立に貢献したと自負しております。
コネクタ端子台も派生商品が生まれ、搭載コネクタの種類が増え、コモン端子台を装備したPCI、リレーを搭載したPCRY、オリジナルの3P圧接コネクタを乗せたPRSも出てきた。その後省スペース化の要求が強まり7mmピッチの端子台PCN7と続き、現在はこれにバネ式の東技らしくビス脱落防止のバネアップ機能が加わったPCA7、各PLCメーカー殿のピン番号に対応したTB-34シリーズと世に出しユーザー様の配線省力化がさらに向上した。
市場では常に省スペースの要求は強く現在はスプリングロックを採用したPCXが出荷数を大きく伸ばしている。
省配線化
機械制御の進化は益々進みI/O点数も膨大となり同時に数百本もの電線がスペースを取るようになった。製作現場での配線作業の省力化が求められるようになり端子部には端子台メーカーならではの工夫をしたCCリンクを世に出したのが2001年、ユーザー様から良い評価を頂き当社の売り上げの柱の一つになっている。
中継BOX
イメージとしてある端子台と言うカテゴリーからは少し外れるかも知れませんが、1997年、センサー中継用で端子台を内蔵又は一体成型した、樹脂製BOXは当時世の中に無かった物で材質も強化PBTというFA向けの材料を採用しこれも現在は当社の売上の大きな柱となっている。
スプリングロック端子台について
現在の端子台市場は公共やプラント関係を中心に実績の有るネジ式端子台が圧倒的であるが、EUメーカーの粘り強いPRと、緩まない、増し締め不要、省スペース等の利便性が浸透してきて産業用を中心にスプリングロック式が台頭してきている。商品バリエーションも豊富で国内実績も充分に積まれている。
当社もシェアを守る為に「研究と努力に生きる」を社是に東技ならではの工夫を凝らし差し込み確認が出来るVTZを筆頭にシリーズを増やし各方面より多くの引き合いを頂いている。以下にスプリングロックの伸びと利点を紹介致します。
ねじ式とスプリングロック式の特徴
売上金額の推移
おわりに
東洋技研は長野県諏訪湖の畔に本社と工場を構え設計、金型、成型、プレス、組立までを社内で一貫生産しており生産機械も社内の生産技術課で製作している。国内生産の利点を活かして小回りの効く対応をしてメイドイン・ジャパンの品質で物作りを続けて参りますので今後とも皆様の御愛顧をお願いいたします。
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